リモートアクセス導入事例
「株式会社モリサワ」
シングルサインオンで利便性を向上!働き方に合わせた多様なリモートワークを実現!
┃会社プロフィール
株式会社モリサワ
猶原 俊行 氏 右) ICTソリューション課
課長 山下 剛 氏
■利用人数:340名
■利用範囲:250ライセンス
■利用部署:6部署
┃課題
Controlアクセスの導入に至った背景とフォント開発の会社としての課題についてお話しいただけますか?――
弊社では、2020に開催予定だった東京オリンピックを契機に、働き方改革の一環として在宅勤務を推進していました。
当初は、既に装備されているVPN環境、そして仮想デスクトップ環境をベースに進める予定で利用部署の方々と調整していきましたが、部署によって必要なリソースが大きく異なるため、一律的な仮想環境の仕様では対応できないことが判明し、特に開発部門のメンバーに必要なリソースを満たした仮想環境を揃えるとなると、費用的にも無理があることがわかりました。
1. 高スペックのCPUとメモリが搭載されたデスクトップ型PCを利用する社員が、在宅勤務できるようにする方法を検討していました
また、品質管理部門ではフォント製品に対して厳しい品質チェックが行われるため、macOS、Windowsなどの様々な実機が用意されています。これら実機に対して在宅勤務を推進するには、外部から安全に操作が可能なリモートデスクトップ形式のツールが必要と判断し、検討を始めました。
2. 実機、特にmacOS端末に対して在宅勤務できるツールを探していました
┃ツール選定条件
ツール選定で重要なポイントは何でしたか?—
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ライセンス体系と価格に魅力ある製品
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調査の結果、開発部門、品質管理部門のリモート対象となる端末が、50〜100台と想定されることから、運用コストが抑えられることが条件でした。
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利用者に対する利便性が高く、ICTソリューション課の運用作業が低減できる製品
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ICTソリューション課では、多くの業務を抱えており特にメンテナンス業務のボリュームがかなりありました。それらを少しでも減らすことができるツールを探していました。
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Azure ADと連携し、Office 365のアカウントでシングルサインオンができる製品
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弊社では、セキュリティの強化を進めており、ユーザー認証をAzure ADで統合する方針でしたので、シングルサインオンに対応していることが最も重要な条件でした。
これらの条件から絞り込むと、リモートデスクトップ形式で、シングルサインオンに対応しているツールは限られ、ConnectWise Controlの他に2つの候補が残りました。しかし、1つはAzure ADとの連携ができないことが判明し、もう1つはUIに利便性が乏しく、価格的に魅力がありませんでした。利用者の視点からも検討し、最終的にConnectWise Control アクセスを導入することになりました。
┃効果
初期導入作業プロセスと導入後の効果についてお聞かせいただけますか?—
Azure AD連携
選定条件で最も重要だったAzure ADとの連携は、御社が提供してくれたマニュアルが非常に分かりやすく詳細に書かれていたので、簡単に設定できました。これでしたら運用面でも負荷がかからないことをトライアルで既に実感していました。ConnectWise Controlユーザーの追加は、Azure AD側で行うことができるので、必要な社員がICTソリューション課に申請する形でこのプロセスを自動化しました。
【Microsoft 365と連携後のConnectWise Controlのログイン画面】
利用者向け教育
導入にあたり利用者向け教育は、特に必要なく利用者に手順書をメールで送る程度でした。社員から申請がなされると、AzureのポータルにConnectWise Controlのアプリが追加されます。利用者はそれをクリックするだけで、自動的にoffice365のアカウントでシングルサインオンができますので、非常に分かりやすかったと思います。
コロナ禍での追加導入作業プロセスについてお話いただけますか?—
追加導入の背景
初期導入直後は在宅勤務が主流ではなかったのですが、3月以降は会社としても社員を守るという観点でなるべく在宅勤務を推奨し、緊急事態宣言以降は出社の必要がない限りリモートワークをする態勢にしました。 基幹システムを使う事務担当者は、専用端末からしかシステムが使えないので、リモートデスクトップ方式で社内端末に接続する必要があることが分かりました。そこで、事務担当者も在宅勤務ができるようにするため、ConnectWise Controlのライセンス数を至急増加することになりました。 弊社では、ユーザーに迷惑かからないようにライセンス追加を緊急で社内承認しました。 御社にもすぐに対応していただいたので、追加後直ぐに常時リモートワークができる態勢を整えることができました。
緊急事態宣言後のリモートワーク
- 1) 開発部のヘビーユーザー、基幹システムを使う事務担当者、実機を操作する必要がある品質管理部は、リモートデスクトップ方式のConnectWise Controlを使用
- 2) CPUやメモリをそれほど必要としない業務の従事者(ライトユーザー)は、クラウド版の仮想デスクトップ(AzureのWindows Virtual Desktop)を使用
- 3) クラウド型のアプリのみで業務ができる者は、会社ノートPCの持ち出しを許可し、社内のファイルサーバーに一部アクセスする必要がある場合は、証明書とVPNで接続して使用
非常事態宣言前の追加導入により、利用者の働き方に合わせた3つのパターンが揃い、コロナ禍でも社員の働き方に合わせた在宅ワークの運用に素早く対応することができました。また、仮想デスクトップを利用する場合は共用ディスクを使うため、ローカルへのインストールが不可能となり、自分のお気に入りソフトをカスタマイズして作業するこができません。そのため、ライトユーザーの中でも「普段使っている社内端末をそのまま使いたい」という人達の要望に答えるため、ConnectWise Controlを選択できるようにしています。
効果1.
選択肢が揃ったことで、こちらから強制するのではなく「3つのパターンから選べますよ」と社員に選択する権限を与えることができました。
リモートデスクトップ方式 | 仮想デスクトップ方式 | クラウド型アプリ方式 |
---|---|---|
【3つのテレワークパターン】 |
効果2.
在宅ワークの導入がスムーズにできた事で、フォントのリリースなど例年に比べて業務に遅れがなくコロナ禍でも当初の計画通りに事業を進めることができました。
┃結果
1.
会社として在宅ワークを強制せざるを得ない状況になったとしても、出社時と概ね変わらないようなネットワーク環境を備えられたことが一番の成果でした。
2.
また、複数の在宅ワーク方式を導入することにより、弊社が推進する多様な働き方改革の実現につながったことが大きな結果と言えます。
竹崎 氏
┃今後
弊社は、緊急事態宣言時も無事社員を守り、業務を予定通り進めることができました。また、弊社社員もリモートワークに柔軟に対応できました。今後、緊急時にリモートワークをほぼ100%で行う必要があった場合でも、乗りきれる自信があります。 今後の目標としては、Azure ADと連携できましたので、Azureの多要素認証機能を利用してさらにセキュリティを強化しようと考えています。また、ConnectWise Control側のログを使用して業務をどのように可視化するかがテーマです。 また、経理部や業務部などそれぞれの部門でリモートワークがしやすい業務内容に改革していきたいです。弊社は、今後もリモートワーク導入と同様、柔軟に業務改革を進めて行きます。
インタビューを終えて
当初の目的であったオリンピックに向けてのリモートワーク導入後、社員の安全を最優先とし、緊急事態宣言の約1ヶ月前という準備期間が短い中で追加導入するという現場担当者とトップの判断は、驚くほど早かった。また、追加導入のプロセスはスピード感があり、運用担当者と社員達の柔軟性には感嘆する。 まさに、時代の変化の中で文化を守り過去と未来をつないできたモリサワの理念と伝統、そして新しいものを積極的に取り入れる柔軟さの両方を持ち合わせた強味を見事に体現した事例であったといえよう。 多様な働き方を推進するモリサワは、コロナ禍でまた1つ新たなスタイルを取り入れることに成功した。今後の改革を語る彼らの声は、モリサワの新しい未来への可能性と自信に満ちていた。50年後、100年後も人々の生活をより豊かに彩るために取り組み続けるモリサワの理念と社員達の信念を強く感じたインタビューだった。 代表 李 昂礁